「試用期間中だから、明日から行かなくても大丈夫でしょ?」——残念ながら、これは誤解です。試用期間だからといって、翌日から出社しなくていい権利が自動的に発生するわけではありません。ただし、条件さえ整えば「今日で辞めます」は十分に実現できます。この記事では、その条件と具体的なルートを解説します。
- やむを得ない事由(体調不良・ハラスメント等/診断書があると強い)
- 会社との合意退職(試用期間中は引き継ぎが少なく通りやすい)
- 有給・欠勤で実質即日(有給がある人限定)
- 退職代行(費用1.5〜3万円、依頼当日から会社対応不要)
※バックレだけは絶対NG。損害賠償リスク有り。
試用期間でも即日退職はできる
2週間ルールとは
退職には法律上のルールがあります。
民法627条という法律で「退職を申し出てから2週間経てば、会社の承諾がなくても辞められる」と決まっています。
つまり、原則として退職の意思を伝えてから2週間は働く義務があるということです。
これは試用期間中でも本採用後でも同じルールが適用されます。
「うちの会社は1ヶ月前に言わないとダメって就業規則に書いてあるけど…」と心配する方もいますが、民法の2週間ルールのほうが優先されます。
就業規則がどうであれ、法律上は2週間で辞められるんです。
ここで1つ大事なことをお伝えしておきます。
退職届と退職願は別物です。
- 退職届——「辞めます」という一方的な意思表示。会社の承諾は不要で、原則として撤回できない
- 退職願——「辞めさせてください」という会社へのお願い。会社が承諾するまでは撤回できる
即日退職を確実にしたいなら、出すべきは退職届です。退職願だと会社に「まだ考え直してほしい」と引き伸ばされる余地が残ってしまいます。
条件を満たせば今日辞められる
では、この2週間すら待たずに即日退職するにはどうすればいいのか。
方法は大きく2つあります。
- 会社が同意した場合——会社側が「今日で終わりでいいですよ」と言えば、2週間を待つ必要はありません
- やむを得ない理由がある場合——体調不良やハラスメントなど、働き続けることが困難な事情があれば即日退職が認められます
ここがポイントです。試用期間中は担当業務が少なく、引き継ぎがほぼ発生しません。
会社側にとっても引き止めるメリットが薄いため、即日退職に同意されるケースは実務上かなり多いんです。
即日退職を実現する4つのルート
即日退職の方法は1つではありません。
自分の状況に合ったルートを選ぶことで、最短で「明日から出社しない」を実現できます。
| ルート | 向いている人 | 必要なもの |
| やむを得ない事由 | 体調不良・ハラスメントなどがある | 診断書があるとベスト |
| 会社との合意 | 上司と話せる・関係が悪くない | 退職届と書面での合意記録 |
| 有給・欠勤で実質即日 | 有給が残っている(入社6ヶ月以上) | 退職届+有給申請 |
| 退職代行 | 会社と直接やりとりしたくない | 1,980円〜3万円の費用 |
やむを得ない事由で辞める
体調不良やハラスメント、家族の介護など「働き続けることが困難な理由」がある場合は、法律上も即日退職が認められます。
民法628条という条文で、「やむを得ない事由」(つまり、そのまま働き続けるのが無理な深刻な理由)があれば、2週間を待たずに辞められると定められているんです。
具体的にどんなケースが当てはまるかというと、こんな感じです。
- 心身の不調——出社するだけで動悸がする、眠れない、涙が止まらないなど
- ハラスメント——上司からの暴言・無視・過度な叱責が続いている
- 家族の介護・看護——急に家族の介護が必要になった
- 労働条件が説明と違う——求人票と実際の業務内容や給与が大きく異なる
特に強いのが医師の診断書です。
「適応障害により就労困難」「うつ状態のため休養が必要」といった診断書があれば、会社側も即日退職を拒否しにくくなります。
心療内科を受診すれば、当日〜数日で診断書を出してもらえるケースがほとんどです。
「そこまで深刻じゃないかも…」と思うかもしれませんが、出社がつらい時点で十分な理由になり得ます。
自己判断で我慢せず、まずは医療機関に相談してみてください。

会社と合意して辞める
特別な事情がなくても、上司に「本日付で退職させてください」と申し出て、会社がOKすればその日に辞められます。
これを「合意退職」と呼びます。
試用期間中はまだ大きな仕事を任されていないことが多いですよね。
引き継ぎがほぼ発生しないため、会社側としても「わかりました、今日で」と同意しやすい状況にあります。
もちろん100%通るわけではありませんが、本採用後に比べるとハードルはかなり低いです。
合意が得られたら、必ずメールか書面で記録を残してください。
「言った・言わない」のトラブルを防ぐためです。
メールには以下の項目を必ず含めましょう。
- 退職日——「○年○月○日付で退職」を明記
- 退職形式——「合意退職」であることを明記(自己都合退職と区別するため)
- 貸与物の返却方法——PCやカードキーを郵送で返すか、取りに来てもらうか
- 書類の送付先——離職票や源泉徴収票の郵送先住所
相手から「了承しました」と返信をもらえれば、合意の証拠として十分です。
有給・欠勤で実質即日にする
先に現実をお伝えします。
有給休暇が付与されるのは、法律上「入社から6ヶ月経過し、かつ出勤率80%以上」の時点です。
つまり試用期間中(入社から数日〜数ヶ月)の場合、そもそも有給がゼロというケースが大半です。
このルートが使えるのは、前職から間を空けずに転職して6ヶ月以上経っている人や、会社が独自に入社時から有給を付与している場合に限られます。
有給がある人の場合、退職届を出した翌日から有給をすべて申請し、退職日まで出社しないという方法が取れます。
法律上の退職日は2週間後ですが、その間ずっと有給なので実質即日退職と同じです。
有給がない場合は、このルートにこだわる必要はありません。
「やむを得ない事由」「会社との合意」「退職代行」のいずれかで即日退職を実現しましょう。
退職代行で即日退職する
「上司が怖くて話せない」「電話するだけで手が震える」「もう一秒も会社と関わりたくない」——そんな人のための選択肢が退職代行です。
退職代行は、あなたの代わりに会社へ退職の意思を伝えてくれるサービスです。
依頼した当日に会社への連絡が完了し、翌日から出社不要になるケースがほとんどです。
自分は会社と一切やりとりしなくて済みます。
2026年4月1〜7日の1週間で退職代行への依頼は約90件と前年同期の約2倍に達し、そのうち2割が新入社員でした。
「入社して間もないのに退職代行なんて…」と思うかもしれませんが、実態としてはかなりの人が利用しています。
費用の相場は1万5,000円〜3万円です。
運営元によって対応範囲が変わるので、自分の状況に合ったサービスを選びましょう。
| 運営元 | 費用目安 | できること |
| 民間企業 | 1,980〜2.5万円 | 退職の意思伝達・手続き代行 |
| 労働組合 | 2〜3万円 | 上記+未払い給与や有給の交渉 |
| 弁護士 | 3〜5万円 | 上記+ハラスメントの損害賠償請求 |
「ただ辞めたいだけ」なら民間企業運営で十分です。
一方、未払い残業代がある・ハラスメントで慰謝料を請求したいといった場合は、交渉権限を持つ労働組合か弁護士運営のサービスを選んでください。
こちらに退職代行のおすすめランキングを掲載しているので、興味のある方はご覧ください。
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お金の不安を全部つぶす
即日退職を決断するとき、行動を止めるのは「お金の不安」です。
給料はどうなるのか、損害賠償を請求されないか、退職後の生活費は——この3つに正面から答えます。
即日退職しても給料はもらえる
結論、働いた日数分の給料は必ず支払われます。
これは労働基準法で保障された権利なので、「即日退職したから払わない」は違法です。
給料は日割り計算(実際に働いた日数分を月給で割った額)で支払われます。
試用期間3日で辞めても、その3日分はきっちり受け取れます。
もし会社が「急に辞めたから払わない」と言ってきたら、労働基準監督署に相談すれば対応してもらえます。
泣き寝入りする必要はまったくありません。
損害賠償を請求される確率
会社にとって割に合わない
「訴えられたらどうしよう」——これが退職を踏みとどまらせる最大の恐怖ですよね。
結論、試用期間中に損害賠償を請求されることは現実にはほぼありません。
理由はシンプルで、会社が「あなたが辞めたことで具体的にいくらの損害が出た」と証明する必要があるからです。
試用期間中の社員にそこまでの業務責任があるケースは極めて稀で、弁護士費用のほうが高くつくため、会社としても割に合わないんです。
- 無断欠勤(バックレ)で業務に穴を空けた
- 採用時に経歴を偽っていた
- 機密情報を持ち出した
逆に言えば、正式に退職届を提出して辞める限り、損害賠償のリスクはほぼゼロです。
だからこそ、バックレではなく正規の手順で辞めることが大事なんです。
退職後に使えるお金の制度
退職後の収入が心配な方のために、使える可能性のある制度を整理しておきます。

傷病手当金(健康保険の制度)
体調不良が原因で辞める場合、給料の約3分の2を最大18ヶ月受け取れます。ただし退職後の受給には、退職日まで継続して1年以上の健康保険加入が条件です。試用期間中の退職では条件を満たせないケースも多いので、前職からの通算期間を確認しておきましょう。
失業給付(雇用保険の制度)
原則として雇用保険に12ヶ月以上加入していることが条件なので、試用期間中の退職では受給できないケースがほとんどです。ただし体調不良やハラスメントが退職理由の場合、6ヶ月以上の加入で受給できる例外もあります。当てはまりそうなら、まずハローワークに相談してみてください。
雇用形態で変わるルール
ここまでの解説は主に正社員(期間の定めのない契約)を前提にしてきました。
自分の雇用形態で何が変わるか、手短に確認しておきましょう。
正社員・パート・アルバイトはすべて同じ2週間ルールです。会社が合意すれば即日退職もできます。
注意が必要なのは契約社員(期間の定めのある契約)だけです。
原則として契約期間が終わるまで辞められませんが、以下のいずれかに当てはまれば退職が認められます。
- 1年を超えて勤務している
- やむを得ない事由(体調不良・ハラスメント等)がある
自分が契約社員かどうかわからない場合は、雇用契約書の「契約期間」欄を確認してください。「期間の定めなし」と書いてあれば正社員と同じルールが適用されます。
バックレだけはやめておけ
ここまで読んで「もう会社に連絡するのも無理」と感じている人もいると思います。
その気持ちは否定しません。でも、無断欠勤(バックレ)だけは絶対に避けてください。
| バックレ | 退職代行 | |
| 会社からの連絡 | 何度も電話・自宅訪問の可能性 | 本人への連絡をしないよう会社に伝達 |
| 退職届 | 出されていない=退職が成立しない | 代行が提出・手続きを完了 |
| 離職票・保険証 | 手続きが止まりトラブルの元 | 郵送対応まで代行がサポート |
| 損害賠償リスク | ゼロではない | ほぼゼロ |
バックレは、損害賠償リスクが現実になる唯一のケースです。
業務に穴を空けたことによる損害を会社が立証しやすくなりますし、退職届が未提出のまま放置されるため、離職票や源泉徴収票といった書類が届かなくなるリスクもあります。
「会社と話したくない」が理由なら、退職代行で解決できます。
費用は1,980円〜3万円。依頼したその日から代行業者があなたの窓口になり、退職届の提出から書類の郵送手配まですべて対応してくれます。
退職代行は問題を解決してくれる。
この違いだけは覚えておいてください。

