退職時に有給を消化するかしないかで、手元に残るお金が数十万円変わります。
この記事では「自分の場合いくらになるか」がパッとわかるように、計算式とモデルケースをまとめました。
退職代行の費用を差し引いても十分プラスになるケースがほとんどです。ただし、選ぶ業者のタイプによって有給の交渉力が決定的に変わるため、金額と業者選びをセットで理解しておくのが大事なポイントです。
有給消化でいくら得する?手取り金額を計算
日給の出し方と手取り計算の式
有給消化中も通常の給与が支払われます。
出勤していなくても、有給休暇は「働いたのと同じ扱い」になるため、無収入期間がゼロになるんです。
つまり、有給を使わないまま辞めるのは現金を捨てているのと同じ。
まずは自分の日給を出してみましょう。
日給 = 月給 ÷ 月の所定労働日数
所定労働日数は、会社が定めた1ヶ月の出勤日数のことで、一般的には20〜22日です。
給与明細や就業規則に載っていますが、ざっくり「20日」で計算すればOKです。
例えば月給25万円なら:
25万円 ÷ 20日 = 日給12,500円
残業代や歩合給が月によって大きく変わる人は、別の方式だと金額が上がることもあります。気になる方は退職代行業者に「うちの会社はどの計算方式ですか?」と聞いてみてください。業者が会社に確認してくれます。
手取りは日給の約75〜80%が目安です。
上の例だと:
日給12,500円 × 80% = 手取り日給 約10,000円
この手取り日給に有給の残り日数を掛ければ、あなたが受け取れる金額がわかります。
モデルケース3パターンで計算してみた
「自分に近いケースはどれかな?」と見てもらえるように、3パターン用意しました。
| ケース | 月給 | 有給残日数 | 額面総額 | 手取り目安(80%) |
| A:入社2年目 | 20万円 | 10日 | 10万円 | 約8万円 |
| B:入社3〜5年目 | 25万円 | 20日 | 25万円 | 約20万円 |
| C:入社6年超 | 30万円 | 40日(最大) | 60万円 | 約48万円 |
ケースBの月給25万円・有給20日で見ると、手取り約20万円。
退職代行の費用は一般的に2〜5万円なので、差し引いても15万円以上のプラスになります。
ケースCのように有給が最大40日まで貯まっている人なら、手取りで約48万円。
退職代行の費用を払っても40万円以上が手元に残る計算です。
あなたの有給、何日残ってる?確認方法

給与明細・勤怠システムで確認する
一番手っ取り早いのは、給与明細の「有給残日数」欄を見ることです。
直近の明細をチェックしてみてください。紙で渡されている人は最新月のものを、Web明細の人はログインすればすぐ確認できます。
給与明細に載っていない場合は、勤怠管理システムを確認しましょう。
ジョブカンやfreee勤怠、KING OF TIMEなど、会社が導入しているシステムにログインすると「有給残日数」や「有休残」と表示されているはずです。
どちらも確認できない、もうログインできない、という場合でも心配いりません。
退職代行業者に依頼した後、業者が会社に有給残日数を確認してくれます。
正確な日数がわからないまま申し込んでもまったく問題ないので、「調べられないから動けない」と止まる必要はないですよ。
入社年数別の有給付与日数の目安
「自分が何日くらい持ってるか見当もつかない」という人のために、法律で決まっている付与日数の目安を載せておきます。
| 勤続年数 | 付与日数 |
| 6ヶ月 | 10日 |
| 1年6ヶ月 | 11日 |
| 2年6ヶ月 | 12日 |
| 3年6ヶ月 | 14日 |
| 4年6ヶ月 | 16日 |
| 5年6ヶ月 | 18日 |
| 6年6ヶ月以上 | 20日 |
入社6ヶ月で10日からスタートし、勤続年数に応じて自動的に増えていきます。
そして有給は使わなければ翌年に繰り越せるので、前年繰越分20日+当年付与分20日で最大40日まで貯まります。
「全然使ってこなかった…」という人ほど、実は大きな金額が眠っている可能性があるんです。
退職代行で有給消化する流れ(実例タイムライン付き)

申し込みから退職日までの実例タイムライン
退職代行で有給消化する流れは、たったの4ステップです。
自分が会社と直接やりとりする場面は一切ありません。
- 退職代行に申し込む(Day 0)
LINEや電話で業者に相談し、退職日・有給消化の希望を伝えます。多くの業者は即日対応してくれるので、「明日から会社に行きたくない」という状況でも大丈夫です。 - 業者が会社に連絡する(Day 0〜1)
業者があなたに代わって、退職の意思と有給消化の希望を会社に伝えます。この時点から、あなたが上司や人事と話す必要はゼロになります。 - 有給消化スタート(Day 1〜)
会社が退職の意思を受理したら、そのまま有給消化に入ります。出勤する必要がなくなるので、実質この日から自由です。 - 退職日を迎える(Day 14〜30)
有給消化が終わった日、もしくは会社と合意した日が退職日になります。退職届や貸与物の返却は郵送で完了するケースがほとんどです。
具体的にイメージしやすいよう、有給20日残っているケースで見てみましょう。
| 日程 | 出来事 | あなたがやること |
| Day 0(月曜) | 退職代行に申し込み | LINEで相談・依頼 |
| Day 1(火曜) | 業者が会社に連絡 | 何もしない |
| Day 2〜 | 有給消化スタート | 自由に過ごす |
| Day 16(水曜) | 有給20日消化完了=退職日 | 退職届を郵送(業者が案内) |
これだけです。
「えっ、自分は申し込むだけ?」と思うかもしれませんが、本当にそれだけなんです。
業者タイプで有給交渉力が変わる
ここが、この記事で最も伝えたいことです。
退職代行には大きく分けて3タイプあり、有給消化の「交渉力」に決定的な差があります。
「退職代行を使えば有給が取れる」と書いてある記事は多いですが、実は業者タイプを間違えると有給交渉すらしてもらえないケースがあるんです。
| タイプ | 有給交渉でできること | 費用相場 | こんな人向け |
| 民間型 | 「有給を使いたいそうです」と伝言するだけ | 2〜3万円 | 会社が素直に応じてくれる確信がある人 |
| 労働組合型 | 団体交渉権で「有給を使わせないのは不当」と会社に迫れる | 2〜3万円 | 有給消化を確実にしたい人(コスパ最強) |
| 弁護士型 | 法的権限で交渉・請求・損害賠償まですべて対応 | 5〜10万円 | 有給トラブルが予想される人、未払い残業代もある人 |
民間型の限界を知っておいてください。
民間型の退職代行は、あくまで「あなたの意思を伝える使者」です。
有給を取りたいという希望を会社に伝えることはできますが、会社が「認めません」と言ったときに交渉する権限がありません。
なぜなら、民間企業が本人に代わって交渉すると「非弁行為」(弁護士でない人が法律事務を行うこと)に該当し、法律違反になってしまうからです。
労働組合型なら、費用は民間型と同程度で交渉力が段違い。
労働組合型の退職代行に申し込むと、あなたはその組合の「組合員」になります。
組合員になると、憲法と労働組合法で保障された「団体交渉権」が使えるようになります。
つまり、会社が有給消化を渋っても「有給を使わせないのは不当です」と正式に交渉できるんです。
しかも費用は民間型と同じ2〜3万円程度。
有給消化が目的なら、コスパで労組型が最適解になるケースが多いです。
弁護士型は最強だけど、必要な場面は限られる。
弁護士型は法的な請求まで対応できるので、有給拒否への対抗だけでなく、未払い残業代の請求やハラスメントの損害賠償請求もまとめて依頼できます。
ただし費用は5〜10万円と高め。
有給消化だけが目的なら労組型で十分ですが、「残業代も未払いがある」「パワハラの記録が残っている」という場合は弁護士型を検討する価値があります。
- 会社が素直に応じてくれる確信がある → 民間型でもOK(ただしリスクあり)
- 有給消化を確実にしたい(ほとんどの人はここ) → 労組型がコスパ最強
- 有給以外にも未払い賃金やトラブルがある → 弁護士型で一括解決
正確には、交渉力のある退職代行を選べば、有給はほぼ確実に取れるんです。
有給が足りない・ゼロの場合の選択肢

退職日を後ろにずらして有給を増やす
意外と見落とされがちなのが、退職日を2〜4週間後ろにずらすことで、次の有給付与タイミングを迎えて日数が増えるケースです。
有給は入社日から6ヶ月後、その後は1年ごとに自動で付与されます。
たとえば付与日が来月5日なのに、今月末を退職日にしてしまうと新しい有給をもらえないまま辞めることになる。
退職日を付与日の後にずらすだけで、10〜20日分の有給が上乗せされる可能性があるんです。
自分の付与タイミングがわからなくても、退職代行の業者に相談すれば会社に確認してくれます。
「退職日をいつにするか」は業者と一緒に決められるので、相談時に「有給付与日をまたげるか確認してほしい」と伝えてみてください。
欠勤扱い・有給買取という選択肢
有給がゼロ、もしくは数日しか残っていない場合でも、欠勤扱いで退職日まで出社せずに辞めることは可能です。
欠勤した日は無給になりますが、民法の「2週間前申告」ルールにより、退職届を出してから2週間で退職自体は成立します。
つまり有給がなくても、最短2週間の欠勤で辞められるということです。
もうひとつの選択肢が有給買取です。
これは法律で義務づけられているわけではなく、会社が任意で応じるものです。
| 比較項目 | 有給消化 | 有給買取 |
| 法的な保障 | 労働者の権利(会社は拒否できない) | 会社の任意(義務なし) |
| 確実性 | 退職日確定後なら拒否不可 | 会社が応じなければゼロ |
消化のほうが法的な保障も確実性も高いため、基本は消化優先。労組型・弁護士型なら買取の交渉も依頼できますが、会社側に義務はないので期待しすぎないことが大切です。
整理すると:
- 退職日を後ろにずらす → 有給付与日をまたげば日数が増える(業者に相談)
- 欠勤扱いで休む → 無給だが出社せず退職できる
- 有給買取を打診する → 義務ではないが、労組型・弁護士型なら交渉の余地あり
有給が少ないからといって退職代行が使えないわけではありません。
まずは業者に現状を伝えて、一番有利な退職日を一緒に考えてもらうのがおすすめです。
会社に拒否されたらどう動く?
退職日確定後の拒否は違法
会社が有給申請を断れる唯一の手段は時季変更権というものです。
これは「今は忙しいから、別の日に変えてくれないか」とお願いする権利であって、有給そのものを拒否する権利ではありません。
ここがポイントなんですが、退職日が確定した後はこの時季変更権が使えなくなります。
なぜなら「別の日にずらして」と言っても、退職日以降にはもう「別の日」が存在しないからです。
ずらす先がない以上、時季変更権は成立しない。つまり退職日確定後の有給拒否は実質違法なんです。
これは労働基準法第39条で保障された労働者の権利であり、会社側の都合で奪えるものではありません。
法律上「断れない」というのが前提です。
ただし——「断れない」のと「素直に応じてくれる」のは別の話。
前のセクションで触れた東京商工リサーチの調査でも、退職代行からの連絡に「取り合っていない」企業が約3割いました。
法的には通らなくても、連絡を無視したり窓口で拒否したりする会社が一定数いるのが現実なんです。
証拠を残して段階的に対応する
会社が有給消化を無視・拒否してきた場合、以下の3ステップで対処します。
いきなり裁判になるようなケースはほぼないので、冷静に進めましょう。
- やり取りをすべて書面・メールで記録する
これが最も重要です。口頭でのやり取りは「言った・言わない」になってしまうため、メールやチャットなど文字として残る形でやり取りしてください。退職代行業者を通じているなら、業者側でも記録を残してくれています。「有給消化を希望したが拒否された」という事実が文字で残っていれば、次のステップに進むときの証拠になります。 - 労働基準監督署に相談する
有給の拒否は労働基準法違反にあたるため、労働基準監督署(労基署)に相談できます。無料で、匿名での相談も可能です。労基署に相談すると、行政指導として会社に是正勧告が入ることがあります。「労基署に相談しますよ」と伝えるだけで態度が変わる会社も少なくありません。ほとんどのケースは、ここまでで解決します。 - 弁護士型退職代行に切り替える
それでも応じない場合は、弁護士型の退職代行に切り替えて法的に請求する手段があります。弁護士であれば内容証明郵便で有給消化を正式に請求でき、応じなければ損害賠償請求に発展することを相手に通知できます。ここまで来る前に解決するケースがほとんどですが、「最終手段がある」と知っておくだけで気持ちに余裕が生まれるはずです。
有給消化中はまだ会社に在籍している状態なので、健康保険も年金もこれまで通り会社の制度が適用されます。
病院に行っても保険証はそのまま使えるので安心してください。
切り替えが必要になるのは退職日の翌日からです。選択肢は2つあります。
| 選択肢 | 内容 | 手続き期限 |
| 国民健康保険に加入 | 市区町村の国保に切り替え。前年所得で保険料が決まる | 退職後14日以内に市区町村窓口で手続き |
| 任意継続被保険者制度 | 退職前の健康保険に最長2年間継続加入。保険料は在職中の約2倍(会社負担分も自己負担)になるが、上限あり | 退職後20日以内に保険者(協会けんぽ等)に申請 |
この期間にやっておくと後がラクなことをまとめます:
- 健康保険の比較検討 → 国保と任意継続の保険料を試算しておく(市区町村窓口や協会けんぽのサイトで確認可能)
- 退職証明書・源泉徴収票の手配 → 退職代行業者に「会社から送ってもらうよう伝えてほしい」と頼んでおく。転職先への提出に必要です
- 失業給付の準備 → 退職後にハローワークで手続きするために「離職票」が必要。離職票は退職日以降に会社が発行・郵送するので、届き次第すぐ動けるようハローワークの場所だけ確認しておく
- 転職活動のスタート → 有給消化中に始めれば、退職後の空白期間を最短にできる
失業給付(雇用保険の手当)を受ける予定の方は、自己都合退職の場合でも2025年4月の法改正で給付制限が1ヶ月に短縮されています。
有給消化中の給与+失業給付をうまくつなげれば、収入の空白を最小限にできますよ。

