マイナビ調査、直近1年の転職者16.6%が退職代行を利用 営業職で最多

  • 2024-10-03
  • 2026-05-18
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退職の意思を本人の代わりに会社へ伝える「退職代行」が、転職者の間で一般的な選択肢として定着しつつある。マイナビが2024年10月に公表した調査は、その利用実態と、特定の職種・環境に利用が集中する構造的な背景を浮き彫りにした。「追い詰められた人が使う最終手段」というイメージと、データが示す実態には大きな開きがある。

マイナビ調査で判明した利用率16.6%

マイナビは2024年10月、直近1年間に転職した人を対象とした「退職代行サービスに関する調査」を公表した。転職者の16.6%、つまり6人に1人が退職代行を利用していたという結果だ。なお、マイナビが公表した資料には調査対象の具体的な人数(n数)の記載がなく、統計的な母数は本調査資料からは確認できない。

20代から40代まで全世代に浸透

年代別に見ると、20代の利用率が18.6%と最も高く、30代も15%台で続く。40代にも利用者がいることから、「若者特有の現象」とは言えない水準まで浸透している。

6人に1人という数字は「珍しい行動」の域をとっくに超えている

マイナビが指摘する構造的背景

退職代行を使った理由の1位は「退職を引き留められた(引き留められそうだった)から」で、40.7%がこれを挙げた。2位は「言い出せる環境でなかった」で32.4%。2つを合算すると7割以上が、会社側のコミュニケーション構造を原因に挙げたことになる。「楽をしたいから使う」という見方を覆すデータだ。マイナビ キャリアリサーチLabはこの結果について、個人の問題ではなく職場のコミュニケーション構造が背景にあると指摘している。

退職代行とはどういう仕組みか

退職代行とは、「辞めます」を本人の代わりに会社へ伝えるサービスだ。申し込んだその日から、自分で会社と直接連絡しなくてよくなる。法律上も問題なく、裏技でも違法でもない——だから急速に広まった。

退職代行と営業職、25.9%の理由

全体16.6%の中で、職種別に見ると特定の職種だけが突出した集中を示している。

職種別利用率の全体像

マイナビ キャリアリサーチLabの調査によると、職種別で最も利用率が高いのは「営業職」の25.9%だ。2位の「クリエイター・エンジニア」18.8%と比べると、7ポイント近い差がある。全体平均16.6%を10ポイント近く上回り、営業職に限れば4人に1人が退職代行を使っている計算になる。

2位との7ポイント差が、営業職の「突出」を示している

なぜ営業職が突出するのか

今回のマイナビ調査には営業職に特化した引き留め経験率などのデータは含まれていない。ただし、全体の利用理由1位が「退職を引き留められた(引き留められそうだった)から」であることを踏まえると、営業職が置かれる職場構造との重なりは指摘できる。

営業職は担当顧客や進行中の商談を抱えているため、「引き継ぎが終わるまで辞めないでほしい」と引き留められるケースが多い。また、上司との個人的な関係性が業績に直結するため、「辞めたい」と言い出しにくい雰囲気が生まれやすい。利用理由2位の「言い出せる環境でなかった」(32.4%)も、こうした構造と対応している。これはあくまで全体データから読み取れる傍証であり、営業職に固有のデータとして断言できるものではない。

企業側も4社に1社が経験

個人が「使う側」なら、企業は「使われる側」だ。マイナビ キャリアリサーチLabの調査では、2024年上半期に「退職代行を利用して退職した社員がいた」と答えた企業は23.2%——約4社に1社に達した。

年次推移を並べると、増加の一方通行が見えてくる。

退職代行経験企業の割合
2021年 16.3%
2022年 19.5%
2023年 19.9%
2024年上半期 23.2%

3年間で約7ポイント上昇した。業種別では金融・保険・コンサルティングが31.4%で最多。引き留め文化が根強いとされる業界ほど、代行が使われている。

引き留めが強い業界ほど、退職代行の利用率が高い

引き留めに対処するには——代行以外の手段と利用者の実像

企業側の増加が止まらない理由は、引き留め構造そのものにある。辞めたい意思を無視され続けた人が代行を選ぶ——この構造が変わらない限り、数字は上がり続ける。

リピート意向74.2%が示すもの

一度利用した人の74.2%が「また必要なら使う」と回答している。もし後悔した人が多ければ、この数字はもっと低くなる。高いリピート意向は、退職という課題を実際に解決できたという評価の裏返しだ。代行利用は「追い詰められた末の選択」ではなく、機能する手段として定着しつつある。

利用者の実像——転職成功率95%

引き留めを振り切って退職代行を使った人たちは、その後どうなったのか。株式会社CAREER FOCUSが退職代行利用者400名を追跡した調査によると、転職成功率は95.1%に達した。利用者の47.6%が年収増加を実現しており、増加額の平均は63.4万円。41.5%が1ヶ月以内に転職先を決定している。「退職代行を使うとキャリアに傷がつく」という見方は、少なくともこのデータとは合わない。

なお、この転職成功率・年収変化のデータは株式会社CAREER FOCUSのプレスリリースによるものであり、マイナビ「退職代行サービスに関する調査」とは別出典である点に注意が必要だ。

転職成功率95.1%——「キャリアに傷がつく」は思い込みだったとデータが示す
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