退職代行を”また使う人”が増えている。川越みずほ法律会計がリピーター囲い込みに動いた理由

  • 2026-05-20
  • 2026-05-24
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弁護士法人川越みずほ法律会計が2026年5月21日、退職代行のリピート割引対象を大幅に広げた。弁護士による退職代行の相場は通常5万円以上だが、割引後の料金は正社員17,000円・パート10,000円——民間業者並みの水準になる。民間業者が企業から対応を拒否されるケースが増えるなか、弁護士の退職代行が「安くてリピートしやすい」価格帯に降りてきた。

川越みずほ法律会計「リピート割引」の変更点

期間制限の撤廃と永久割引化

変更前は「直近1年以内の再依頼」がリピート割引の条件だった。5月21日の改定でこの期間制限が撤廃され、過去にいつ利用したかを問わず割引が適用される。割引額は正社員などが5,000円引き(通常料金22,000円→17,000円)、パート・アルバイトが2,000円引き(12,000円→10,000円)。「また使うかもしれないが1年以上先になる」という人も対象になった。

項目 内容
変更前 直近1年以内の再依頼のみ割引対象
変更後 期間無制限で永久割引(いつ利用していても対象)

他社利用者も対象の「乗り換え割」

4月の改定では、過去に他社の退職代行を使ったことがある人も割引対象に加えた。川越みずほを初めて使う場合でも「退職代行の経験者」であれば割引が適用される。他社利用の事実確認は申告制で、依頼時に過去の利用経験を伝えることで割引が適用される仕組みだ。

割引の対象範囲

5月の拡大では正社員・パートに加え、公務員・会社役員・業務委託で働く人(フリーランスなど)もリピート割引の対象とした。民間の退職代行業者では法的な権限の問題からこれらの層に対応できないケースが多いが、弁護士法人であれば退職に関わる法的な手続きや交渉も担うことができる。正社員・パートと同じ割引額が適用される。

なぜ弁護士法人がここまでリピーターを優遇するのか——その背景には、退職代行を繰り返し使う人が増えているという社会の変化がある。

弁護士による対応なのに割引後17,000円——民間業者の相場と競合する価格帯に入ってきた

退職代行を繰り返し使う人が増えている

20代の83%が退職代行を知っている(パーソル総合研究所、2025年12月)。一度使って即日退職できた体験は、次の利用判断を早める。「上司と一度も話さずに済んだ」という経験が積み重なれば、「次の職場でも合わなければまた使えばいい」という発想は自然に生まれる。

試用期間明けやゴールデンウィーク後に退職代行の利用が増える傾向は、業者各社が共通して指摘する。川越みずほ法律会計が期間制限を撤廃して「永久割引」に踏み切ったのは、こうした複数回利用者を長期的な顧客として取り込む判断だ。

ただし、リピートが増えるほど別の問題が浮上する。民間の退職代行業者では、企業が対応を拒否するケースが増えているからだ。

退職代行は「一度きりの手段」から「入社ガチャのリセット手段」になりつつある

企業の3割が民間業者を拒否する時代

東京商工リサーチが2026年4月、6,425社を対象に実施した調査では、弁護士・労働組合以外の退職代行業者からの連絡を「取り合わない」と回答した企業が30.4%にのぼった。退職代行を使ったのに会社が無視する——そういう事態が現実に起きている。

きっかけは2026年2月の出来事だ。退職代行サービス「モームリ」を運営する株式会社アルバトロスの代表らが、弁護士資格なしに会社と交渉したとして弁護士法違反の疑いで起訴された(各報道機関が2026年2月に報道)。この事件以降、民間業者からの連絡を法的根拠として拒否する企業が増えた。

弁護士だけが、有給消化の取得や退職日の交渉を法的に代理できる。民間業者にできるのは「本人の意思を伝えること」だけで、会社が条件を持ち出してきた場合は対応できない。川越みずほ法律会計の割引拡大は、民間業者では対応できないケースでの受け皿として機能する価格帯への参入といえる。

民間業者の退職代行は、企業が対応を拒否した場合に退職が進まないリスクがある。
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