2025年4月1日、自己都合で退職した人が失業給付を待たされる期間が2ヶ月から1ヶ月に短縮された。雇用保険法の改正によるもので、離職日が2025年4月1日以降であれば原則として適用され、退職後の初回振込までの目安は約80日から約50日に縮まった。ただし、退職理由や過去の退職歴によっては給付制限がゼロになる場合も、逆に従来通り3ヶ月の制限が続く場合もある。退職後にいつ振り込まれるか、自分がどのパターンに当たるかを把握しておくことで、生活設計の見通しが立てやすくなる。
自己都合退職の給付制限が1ヶ月に短縮
2025年4月の雇用保険法改正の要点
給付制限とは、自己都合で退職した場合にハローワークへ申請した後、一定期間は失業給付が一切支給されない空白期間のことだ。2020年以前は3ヶ月、その後2ヶ月に短縮されたが、2025年4月1日からさらに1ヶ月に縮まった。離職日が2025年4月1日以降であれば、原則としてこの短縮が適用される。背景にあるのは「辞めても生活が苦しくなりにくい、転職しやすい社会をつくる」という政策の狙いだ。
では、1ヶ月に縮まったことで、退職後の実際の入金スケジュールはどう変わるのか。
退職後いつ振り込まれるか
ハローワーク申請から入金まで
退職後にハローワークへ離職票を持参して申請する。ハローワークに初めて訪問した日から起算すると、次のような流れになる。
- 待期期間7日間:理由を問わず給付が出ない最初の空白期間
- 給付制限1ヶ月:自己都合退職に課される受給待機期間(2025年4月改正後)
- 認定日:求職活動の実績を申告する日。制限終了後に設定される
- 振込まで約7〜10日:認定後、指定口座に振り込まれる
ハローワーク初回訪問日を起点とすると、待期7日+給付制限30日+認定日・振込まで7〜10日で、初回振込まで約45〜50日が目安となる。旧制度では約80日かかっていたので、30日早まった計算になる。なお、退職日からハローワークへ行くまでの日数は人によって異なるため、退職日起算の「約50日」はあくまで目安だ。
制限なし・3ヶ月、自分はどれか
原則は「1ヶ月」だが、条件次第で0ヶ月にも3ヶ月にもなる。また、退職理由によっては「特定理由離職者」に分類され、給付制限が課されないケースもある。
- 0ヶ月(特定理由離職者):病気・家族の介護・ハラスメント・雇用条件の一方的変更など、やむを得ない事情による退職と認められた場合。会社都合と同じ扱いになる
- 0ヶ月(教育訓練受講者):離職前後に対象の教育訓練を受講している場合
- 1ヶ月:上記に該当せず、かつ過去5年以内の自己都合退職が2回以下
- 3ヶ月:過去5年以内に正当な理由のない自己都合退職が3回以上
特定理由離職者とは
「特定理由離職者」とは、自己都合退職でも「やむを得ない理由」と認められるケースだ。具体的には次のような理由が該当する可能性がある(ハローワークの判断による)。
- 本人または家族の重大な疾病・負傷
- 家族の介護が必要になった
- 配偶者の転勤・転居への帯同
- 職場でのハラスメント(会社が適切な対処をしなかった場合)
- 賃金が大幅に引き下げられた
- 労働条件が一方的かつ大幅に変更された
- 通勤が著しく困難になった
特定理由離職者に認定された場合、給付制限なしで受給できる。ただし認定はハローワークが判断するため、退職理由を証明できる資料(会社との交渉記録、医師の診断書など)を準備しておくことが現実的だ。
教育訓練で制限が撤廃される条件
離職前1年以内、または離職後に厚生労働大臣が指定する教育訓練(リスキリング講座など)を実際に受講している場合、給付制限は0ヶ月になる。待期7日が終われば即座に受給が始まる。
ただし、「受講を検討中」「申し込み済みだが未開講」「離職後に申し込みを考えている」の状態では条件を満たさない。給付制限が撤廃されるのは、指定された講座を実際に受講している実績がある場合に限られる。離職後に受講する場合も、まずハローワークに相談し、対象講座かどうかを確認してから申し込むのが確実だ。
5年で3回辞めると3ヶ月に延長
2025年4月改正後の雇用保険制度において、過去5年以内に正当な理由のない自己都合退職を3回以上繰り返している場合、1ヶ月短縮の特例は適用されない。引き続き3ヶ月の給付制限が課される。「1ヶ月のはずが3ヶ月だった」という事態を避けるため、転職回数が多い人は自分の退職歴を事前に確認しておく必要がある。
自分のパターンが分かった上で、次の疑問が浮かぶはずだ——「給付をもらいきってから就職した方が得なのか」。
早く就職すると損する?
給付をもらいきってから就職した方が得——そう考えがちだが、制度の設計は逆だ。失業給付の残日数が多い段階で就職すると「再就職手当」が一括支給される。所定給付日数の3分の2以上を残して就職すれば残額の70%、3分の1以上なら60%が支給される仕組みで、給付制限が1ヶ月に縮まったことで制限明け直後の残日数は以前より多くなり、手当も大きくなりやすい。
注意点もある。給付制限中(制限の1ヶ月以内)に就職する場合は、ハローワーク紹介経由でないと再就職手当の対象外となる。また、非正規雇用への就職者を対象にしていた就業手当は2025年4月の改正で廃止された。正社員以外の選択肢で早期再就職を目指す場合、恩恵は限定的になる。