退職代行モームリ、2025年仕事始めに1日256件で過去最多を更新

  • 2025-01-06
  • 2026-05-18
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2025年1月6日の仕事始め、退職代行サービス「モームリ」への依頼が1日で256件に達した。同社の過去最多だった180件を76件上回る記録で、依頼の9割近くが始業時刻前の午前7時24分までに完了していた。9連休という長期休暇が「我慢していた自分」を可視化する装置になった——256件という数字は、その証拠だ。

退職代行サービスとは

退職代行サービスは、本人の代わりに会社への退職の意思表示を行う事業者のことだ。直接上司に伝えることへの心理的障壁が高い場合や、退職を申し出ても受理されないケースなどに利用される。依頼者はサービス会社を通じてやり取りするため、基本的に退職完了まで職場と直接話す必要がない。

モームリは株式会社アルバトロス(東京都)が運営する退職代行サービスだ。労働組合との提携により、団体交渉権に基づく交渉にも対応する。

モームリに1日256件が殺到した経緯

午前7時24分で230件の衝撃

同社代表の谷本慎二氏がSNSで公開したデータによると、1月6日の256件は前年の仕事始め(2024年1月6日)の145件と比べると1.76倍の水準だ。

256件のうち230件は、午前7時24分の時点で既に受け付けを終えていた。多くの企業の始業時刻は午前9時前後。会社へ向かう前、あるいは出勤の準備をしている時間帯に、依頼のほぼすべてが完了していた計算になる。

午前7時24分で230件——会社が開く前に、ほぼすべての決断は終わっていた

正社員が8割、26名体制で対応

依頼者の内訳は正社員202名(約79%)、パート・アルバイト24名、契約社員18名、派遣社員11名だった。年齢層の内訳は同社から公表されていない。雇用形態を問わず幅広い層から依頼が集まったが、中心は正社員だ。モームリの従業員26名がこの日の対応にあたり、谷本代表はSNSで「従業員自身がモームリにならないよう気をつけたい」と発信した。

9連休明けに「戻れない」と決めた人たち

2024年末から2025年始の年末年始は、平日1日を休暇にあてれば最大9連休になる日程だった。この長期休暇が、多くの依頼者にとって職場を冷静に見つめ直す時間になった。

休暇中に冷静になった結果

連休中に仕事から離れたことで、かえって職場の異常さに気づいた人たちがいた。モームリへの依頼の中には、職場で倒れて点滴を打った直後に働くよう求められた事例や、社内での怪我を「自宅での怪我にしろ」と労災隠しを指示されたケースが含まれていた。

9連休で心身が回復したからこそ、「あの環境には戻れない」と判断した——長期休暇が、日常の中で見えなくなっていた限界を可視化した。依頼者の約8割はすでに即日退職のめどを立てた状態でモームリに連絡していた。

休んで心身が回復したことが、逆に「あの環境には戻れない」という決断を後押しする——長期休暇は、日常の忙しさの中で見えなくなっていた限界を浮かび上がらせる。

仕事始めだけではない──節目に繰り返される殺到

モームリへの依頼は、社会が「節目」と呼ぶ日のたびに急増するパターンを繰り返している。

入社式直後に5名が利用した4月1日

2025年4月1日、モームリへの1日の依頼件数は134件に達した。その中には、入社式を終えたばかりの新卒5名が含まれていた。式の当日に退職代行を選んだという事実は、就職活動中に伝えられた条件や職場の雰囲気と、配属後に目にした実態とのギャップが、初日に限界を超えたことを示している。

株式会社アルバトロスの発表によると、2025年度の新卒利用者数は4月時点で388名に達し、前年度の256名から約1.5倍に増加した。

入社式当日の利用——「聞いていた話と違う」という失望が最も早く、最も深いところで表れている

月間1974件、前月記録も更新

1月6日の単日記録と並行して、月間の依頼件数も動いていた。同社の発表によると、2025年1月の依頼件数は27日時点で1,974件に達し、前月(2024年12月)の月間最多記録を上回った。

仕事始め、入社式——いずれも社会的な「新たなスタート」として位置づけられた節目だ。退職代行への依頼件数は、これらの節目が同時に「現実と向き合う日」でもあることを数字で示している。

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