MERY調査、Z世代の28%が「退職代行を使いたい」 利用経験は3%にとどまる

  • 2025-06-19
  • 2026-05-18
Z世代調査で、退職代行への関心は28%だが実利用は3%にとどまる結果が判明した。

MERY Z世代研究所が2025年6月に発表した調査で、Z世代の28.3%が退職代行を「使ってみたい」と答えた。退職代行は、本人の代わりに会社へ退職の意思を伝えるサービスで、費用は一般的に2万〜5万円程度、EXIT退職代行モームリなどが広く知られている。「必要なサービスだ」と認めるZ世代は57.3%に達するが、実際に使ったのは3.7%にすぎない。

必要性肯定57%→使いたい28%→実利用3.7%——この3段階の落差が、Z世代と退職代行の関係の実態を映している。

28%が「使いたい」と答えた背景

利用意向と必要性肯定の数字

「必要だと思う」と「自分が使う」の間には大きな壁がある。「賛成だけど自分は別」という立場が、Z世代における退職代行評価の標準形だ。

必要性肯定57.3%→使いたい28.3%→実利用3.7%——「賛成だけど自分は別」が多数派

「辞めさせてくれない」が最大の動機

退職代行を使いたい理由の第1位は「退職を引き止められたり、辞めさせてもらえない状況に備えて」で40.7%だった(MERY Z世代研究所調査)。対面で上司に伝える気まずさや精神的な負担を理由に挙げる声も続く。上位の理由はいずれも、制度への不満よりも「退職の場面における人間関係」への対処として退職代行を捉えていることを示している。

では28%という意向値にとどまる裏で、何がブレーキになっているのか。

それでも使わない理由

使いたくない理由の1位は「お金がもったいない(66.0%)」だ。退職代行は一般的に2万〜5万円程度かかる。気まずい10分間を避ける対価として、その金額を高いと感じる層が最多を占めた。

2位が意外性を持つ。「自分で伝えないのは誠意がない・マナー違反(58.3%)」——デジタルネイティブとされるZ世代の約6割が、退職という場面に限っては対面の誠意を重視している。SNSで情報収集し、合理的な判断を得意とすると言われるこの世代が、会社へのケジメについてだけは伝統的な価値観を持ち続けている。

8割は対面で伝えている現実

退職経験者の行動データがこれを裏付ける。直属の上司に対面で伝えた人は69.4%、人事担当者に伝えた人が12.0%。合計で8割超が従来通りの方法を選んでいる(MERY Z世代研究所調査)。退職代行が話題になる一方で、実際の現場では「自分の口で辞意を告げる」が大多数だ。

「あっていい」と「自分が使う」の距離

必要性肯定57.3%に対し、実際の利用は3.7%。この落差の正体は「あっていいけど自分は使わない」という感覚だ。退職代行はZ世代にとって、いざとなれば頼れるという心理的な保険として機能している。しかし実際に保険を行使する人が少ない背景には、金銭的なブレーキと、58.3%が感じる道義的なブレーキの両方がある。「自分はそういう辞め方をしない」という自己像が、数字の上で最後の壁になっている。

では、この「誠意がない」という感覚は誰が強く持ち、誰が外しているのか——同じZ世代の内部で評価は大きく割れている。

退職代行はZ世代の「保険」であって「手段」ではない

Z世代の本音は一枚岩ではない

「Z世代=退職代行賛成」でも「Z世代=退職代行否定」でもない。同じ「Z世代」という括りの内側で、評価は大きく割れている。

職場経験のない段階では、退職代行の利用に否定的な声が目立つ。「直接言うべき」「無責任な辞め方だ」という反応は、職場の実態をまだ経験していない段階で退職を道義的な問題として捉えやすいことを反映している。

一方、実際に働き始めると意識は変わる。「辞められない職場」の現実が、入社前の理想論を書き換えていく。退職代行を実際に使った3.7%の多くは、こうした現場の経験が後押しした可能性が高い。ただし職場に入ったからといって使う側に転じるわけではなく、58.3%の「誠意がない」という意識は社会人のZ世代にも共存している。

Z世代の退職代行意識は一枚岩ではない——社会人経験の有無や置かれた職場環境で大きく分かれる